戦略とは「何をやるか」ではなく、「何を選ぶか」である

選ぶということは、同時に「選ばないこと」を決めることでもある

「戦略を考えよう」とすると、
SNSを強化する。
広告を出す。
新しいサービスをつくる。
ホームページをリニューアルする。
といった話になることがあります。

しかし、これらは戦略そのものではありません。
どれも、戦略を実現するための施策です。

戦略を考えるとき、その前に決めなければならないことがあります。

  • どこを目指すのか
  • 誰に価値を届けるのか
  • どんな価値で選ばれるのか
  • 自分たちの強みを、どこで生かすのか

つまり戦略とは、
「何をやるか」という施策を決めることから始まるのではなく、

事業として、何を選ぶのかを決めることから始まります。

そして、何かを選ぶということは、
同時に、何を選ばないのかを決めることでもあります。


table of contents

戦略と施策は、同じではない

たとえば、「Instagramを始める」という判断があったとします。

これは戦略でしょうか。

私は、戦略とは考えていません。
Instagramは、顧客との接点をつくるための一つの手段です。

重要なのは、その前に、
なぜInstagramなのか。
誰に届けたいのか。
何を伝えたいのか。
その結果、顧客にどんな行動をしてほしいのか。
が決まっていることです。

同じように、
SEOも、広告も、ホームページも、営業活動も、それ自体は戦略ではありません。

戦略が決まった結果として、必要な施策が選ばれる。

この順番が重要です。

施策から考え始めると、
「これもやった方がいい」
「あれも必要かもしれない」
と、やることが増えていきます。

一方で、戦略が明確であれば、
「自分たちの戦略を実行するために、本当に必要な施策は何か」という基準で判断できます。


戦略には、「やらないこと」を決めることも必要

戦略とは、何でもできる状態をつくることではありません。

むしろ、
何を選び、何を選ばないのかを明確にすることが重要です。

たとえば、
どの顧客を中心にするのか。
どんな課題に向き合うのか。
どんな価値で選ばれるのか。
どの強みを生かすのか。
を決めるということは、

同時に、
すべての顧客を追わない。
すべての課題に応えない。
すべての価値を訴えない。
あらゆるサービスを提供しない。
という選択でもあります。

もちろん、
単に業務を減らすことや、忙しいから何かをやめることが戦略なのではありません。

重要なのは、
目指す方向を明確にしたうえで、その方向に合わないものを意図的に選ばないことです。

何かを選べば、何かを選ばないことになります。

そのトレードオフを曖昧にせず、
「自分たちは、ここに力を使う。だから、これはやらない」と決める。

それによって、
限られた時間、人、お金を、本当に重要なところへ集中させることができます。

つまり、
「やらないこと」は戦略の外にあるのではなく、戦略を成立させる重要な選択の一つです。


「誰にでも価値を届ける」は、戦略になりにくい

たとえば、「できるだけ多くの人にサービスを届けたい」という考えがあったとします。

想いとしては、とても自然です。
しかし、戦略として考えると、それだけでは十分ではありません。

顧客によって、
悩みも、求める価値も、選ぶ基準も、違うからです。

すべての顧客に対応しようとすると、
サービスも、メッセージも、ホームページも、少しずつ焦点がぼやけていきます。

戦略では、
「誰にでも」ではなく、「まず誰に」を選びます。

そして、
その顧客を深く理解する。
その人にとって重要な価値を考える。
その価値を、自分だからこそどのように提供できるのかを考える。

一方で、
その顧客を選ぶということは、
すべての人を同じ優先順位で追わないということでもあります。

焦点を定めるからこそ、
自分の価値が、より明確に届くようになります。


「何ができるか」ではなく、「何で選ばれるか」

長く事業を続けていると、できることは増えていきます。

さまざまな経験を積み、複数のサービスを提供できるようになり、多くの顧客に対応できるようになる。

これは大きな強みです。

しかし、
できることが多いことと、選ばれる理由が明確であることは同じではありません。

顧客が知りたいのは、
「この会社には何ができるのか」だけではありません。

むしろ、
「自分の課題に対して、なぜここを選ぶべきなのか」です。

だから戦略では、
できることをすべて並べるのではなく、
自分たちは何で選ばれたいのかを決める必要があります。

そして、
何で選ばれたいのかを決めるということは、
何では勝負しないのかを決めることでもあります。

価格で選ばれたいのか。
専門性で選ばれたいのか。
スピードで選ばれたいのか。
深い伴走で選ばれたいのか。

すべてを同時に強く打ち出そうとすると、かえって違いがわかりにくくなることがあります。

だからこそ、
自分たちは、何を価値の中心に置くのかを選ぶことが必要です。


強みは、使う場所を選んで初めて戦略になる

強みを持っているだけでは、それがそのまま戦略になるわけではありません。

たとえば、
高い専門性がある。
長い経験がある。
顧客との関係構築が得意。
複雑な問題を整理する力がある。

こうした強みがあったとしても、
どんな顧客に対して、
どんな課題を解決するために、
どのように使うのか。
が明確でなければ、戦略にはつながりません。

重要なのは、
「自分には何があるか」だけではなく、
「その強みを、誰に対して、どこで生かすのか」
です。

同じ強みでも、使う場所によって価値は変わります。

だからこそ戦略には、

  • 顧客の選択
  • 価値の選択
  • 強みを生かす場所の選択

が必要になります。

そして、そこで選ばなかったものに、限られた力を分散させないことも重要です。


戦略は、複数の選択がつながったもの

戦略を一つの言葉で表そうとすると、
「ターゲットを決めること」
「差別化すること」
「集中すること」
「やらないことを決めること」
など、一部分だけが強調されることがあります。

しかし、本来の戦略は、一つの選択だけでは成立しません。

たとえば、
どこを目指すのか。

そのために、
誰に価値を届けるのか。

その顧客に、
どんな価値で選ばれるのか。

その価値を生み出すために、
自分たちのどんな強みを生かすのか。

そして、
何に力を集中するのか。

さらに、
そのために、何をやらないのか。

こうした選択が、互いにつながっていることが重要です。

一つひとつがバラバラではなく、
一貫した方向を向いている。

その状態が、戦略です。


「やること」と「やらないこと」がつながっていることが重要

たとえば、「専門性の高い特定の顧客層に、深い支援を提供する」という戦略を選んだとします。

そうであれば、誰にでも広く浅くサービスを提供することは、戦略との整合性が低くなるかもしれません。

反対に、「多くの人に、手軽に利用できるサービスを届ける」という戦略なら、
一人ひとりに多くの時間をかける提供方法は、事業として成立しにくいかもしれません。

どちらが正しいということではありません。

重要なのは、
選んだ方向と、実際の行動が一致していることです。

戦略とは、
「これをやる」だけではなく、
「これを選ぶから、こちらは選ばない」という関係まで明確にすることです。

この一貫性があることで、事業としての輪郭が強くなります。


良い戦略は、日々の判断をシンプルにする

戦略の価値は、立派な計画書ができることではありません。

日々の判断がしやすくなることです。

たとえば、
新しい顧客から相談が来た。
新しいサービスのアイデアが出た。
新しいSNSが話題になっている。
競合が新しいことを始めた。

そんなとき、
戦略がなければ、
「面白そうだから」
「売れそうだから」
「他社もやっているから」
という理由で判断しがちです。

一方で、戦略が明確なら、
自分たちが目指す方向に合っているか。
大切にする顧客に価値を届けられるか。
自分たちが選ばれたい理由を強くできるか。
という基準で考えることができます。

場合によっては、
魅力的な機会であっても、
「今はやらない」という判断もできます。

それは、機会を捨てることではありません。

自分たちが選んだ方向を守るための意思決定です。

戦略とは、未来を完全に予測するものではありません。

変化が起きたときに、
自分たちとして、どう判断するかの軸を持つことでもあります。


戦略は、事業の本質からつくられる

では、戦略はどこから生まれるのでしょうか。

私は、いきなり戦略から考えません。

まず、
誰に価値を届けたいのか。
どんな価値を届けたいのか。
なぜ自分だから、その価値を提供できるのか。
どんな事業を目指しているのか。
という事業の本質を明らかにします。

そこが明確になることで、
初めて、
誰を優先するのか。
どんな価値で選ばれるのか。
どの強みを生かすのか。
どこに力を集中するのか。

そして、
何を選ばないのか。
を考えることができます。

だから、

事業の本質

戦略

施策

という順番が大切です。

事業の本質が曖昧なままでは、戦略もまた曖昧になります。

事業の本質については、こちらの記事でも詳しく解説しています。


戦略を考えるための6つの問い

自分の事業の戦略を整理するときには、次の6つを考えてみてください。

1.どこを目指すのか

この事業を、これからどのような状態にしたいのか。

目先の売上だけではなく、
事業として目指す方向を明確にします。

2.誰に価値を届けるのか

すべての人ではなく、
自分たちが最も価値を届けたい顧客は誰か
を考えます。

3.どんな価値で選ばれるのか

商品やサービスそのものではなく、
顧客にとって、なぜ自分たちを選ぶ意味があるのか
を考えます。

4.どの強みを生かすのか

自分たちが持っている経験や専門性のうち、
その顧客に価値を生み出すものは何か
を考えます。

5.何に力を集中するのか

その戦略を実現するために、
限られた時間、人、お金をどこへ使うのか
を決めます。

6.そのために、何をやらないのか

最後に、
選んだ方向を実現するために、意図的に選ばないものは何か
を考えます。

できることだからやる。
依頼されたからやる。
競合がやっているからやる。
ではなく、

自分たちの戦略に合っているか
という基準で判断します。

大切なのは、この6つが別々ではなく、
一つの方向として一貫してつながっていることです。


戦略とは、「選ぶこと」と「選ばないこと」をつなげること

戦略とは、
SNSを始めることでも、
広告を出すことでも、
ホームページをつくることでもありません。

また、
単に何かをやめることでもありません。

戦略とは、

  • どこを目指すのか
  • 誰に価値を届けるのか
  • どんな価値で選ばれるのか
  • どの強みを生かすのか
  • 何に力を集中するのか

そして、

  • そのために何をやらないのか

という事業としての選択をつなぎ、進む方向を明確にすることです。

何かを選ぶということは、
何かを選ばないということでもあります。

すべてを選ぼうとすれば、
限られた力は分散し、
何を大切にする事業なのかも見えにくくなります。

だからこそ、
「何をやるか」を決める前に、
「何を選び、何を選ばないか」を決める。


そこから戦略は始まります。


事業の本質を、戦略へ

Strategic Business Designでは、まず、事業の本質を明らかにします。

そして、その本質をもとに、

どこを目指し
誰に対して
どんな価値で選ばれ
どの強みを生かし
どこに力を集中し
何をやらないのか

を戦略として設計します。

さらに、その戦略を、

サービス
メッセージ
顧客接点
ホームページ

へとつなげていきます。

事業の本質を、戦略へ
戦略をホームページへ

それが、Strategic Business Designです。

この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!

author

なぜ、本質から設計するのか?

かつて私は、
ビジョンや戦略が十分に定まらないまま、
前に進んでいく組織を経験しました。

熱量はあっても、
「どこを目指すのか」「何を実現するのか」が曖昧なままでは、
判断も方向も揺れてしまいます。

一方で、
事業の本質を捉え、
ビジョンを明確にし、
戦略を設計した組織やプロジェクトでは、
目指す方向もブレず、確実に成果につながりました。

その違いは、
「本質が定まっているかどうか」でした。

だから私は、
事業の本質を言語化し、
ビジョンと戦略を設計し、
ホームページへと実装する。

それが、私の考える
“Strategic Business Design”
です。

table of contents